新婚の定義──嘘つきな君と僕──
夜になって、ユウが帰宅した。

レナはユウの帰りを玄関で出迎える。

「お帰りなさい。お疲れ様。」

笑って出迎えるレナを嬉しそうに抱きしめて、ユウはいつものようにレナの肩口に顔をうずめた。

「ただいま。」

ユウはレナに軽くキスをして微笑む。

「いい子で待ってた?」

「すごくいい子にしてた。」

「じゃあ、後でご褒美あげる。」

「うん。」


夕飯の後、楽しみにしていた神戸のバウムクーヘンを切り分けて食べた。

「おいしいね。」

「うん。うまい。」

「これ、有名なんだね。テレビでもご当地銘菓だって紹介されてたんだって。結婚式の引菓子なんかによく使われてるらしいよ。」

「へぇ…。結婚式の引菓子にバウムクーヘンって、なかなかいいな。これから二人で年輪を重ねて…みたいな感じかな。」

「みんな喜んでくれたよ。岡田くんとこのユイちゃんは1年生になってすっかりお姉さんだったし、アイちゃんはもう、伝い歩きとかしてたの。マユはつわりでまだ時々しんどいらしいけど、順調だって。直子さんとテオさんも相変わらず仲良しだし、元気そうだったよ。リサに、神戸の店舗でユウが服買ってくれたって話したら、すごく喜んでた。」

「そっか…レナも仕事で忙しいのに、みんなのところに届けてくれたんだ。」

「うん。いい子でしょ。あとね、ヒロさんの奥さん、甘い物に目がないんだって。」

「えっ?!ヒロさんにも直接渡したの?」

「うん。喜んでたよ。奥さんが前から食べてみたいって言ってたんだって。」

「そうなんだ…。」

(12年経っても、オレにとってヒロさんは、恩もあるし尊敬もしてるし、恐れ多いというか…少し怖い存在なんだけどな…。レナは平気で懐に飛び込んでくんだな…。)
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