新婚の定義──嘘つきな君と僕──
夕食と入浴を済ませると、二人でソファーに座ってゆっくりとビールを飲んだ。

「やっぱりユウと一緒に飲むとおいしい。」

「オレも、レナと一緒がいい。」

ユウはレナの唇に軽くキスをして、優しく髪を撫でた。

「そうだ。ちょっと待ってて。」

ユウは自分の部屋に行って、ずっと渡しそびれていた誕生日プレゼントを持ってリビングに戻り、レナに渡した。

「これ。開けてみて。」

「えっ、なあに?」

「誕生日、一緒にお祝いできなくてごめんな。レナに一人で寂しい誕生日過ごさせちゃったから、せめてプレゼントくらいはと思って次の日に買いに行ったんだけど…いろいろあって、ずっと渡しそびれてた。」

紙袋の中からバッグを取り出し、レナは嬉しそうに笑った。

「わぁ…かわいい…!」

レナはバッグを肩に掛けてユウに見せる。

「どう?」

「思った通りすごくいい。気に入った?」

「うん、ありがとう!すごく気に入った。あ…この小さい包みは何?」

レナは小さな包みからバレッタを取り出し、目を輝かせた。

「キレイ…。」

「それ、遅くなったけどチョコのお礼。挙式のことでバタバタしてたから、ホワイトデーのことすっかり忘れてて。」

「ホワイトデーは、素敵な結婚式を挙げて、みんなにお祝いしてもらって、ユウから素敵な歌をもらったよ。」

「…それはそれ。」

レナは髪をひとつにまとめ、ユウのくれたバレッタで留めた。

「似合う?」

「うん、すごく似合う。」

ユウは満足げにレナを見つめて、ギュッと抱きしめた。
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