新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「はぁ…オレの奥さん、なんでこんなにかわいいんだろ。」

「何言ってるの…。」

レナは照れ臭そうに呟く。

「昔もかわいかったけど、付き合い始めてからレナがどんどんかわいくなっていくんだよ。」

「えぇっ…。私は何も変わってないよ。」

「オレの前では、泣いたり笑ったり怒ったり、すねたり照れたり恥ずかしがったり…いろんな顔するようになった。昔よりよく話してくれるし。知らなかったレナの素顔がひとつ見えるたびに、オレに心をゆるしてくれてるんだって思えて、すごく嬉しい。」

「ユウも…昔はいつも優しく笑ってそばにいてくれたけど、今は、昔からは考えられないようなこと、言うもんね。」

「…どんな?」

「無自覚なんだ。」

レナがおかしそうに笑うと、ユウはレナの脇腹をくすぐりながら笑って言う。

「無自覚はお互い様だろー!」

「やだ、くすぐったい!やめてよー!」

「ダメ、やめない。もっと笑わせる!」

「ユウの意地悪ー!!仕返ししちゃうからね!!」

二人はソファーでくすぐり合って笑い転げ、やがて息を上げてお互いに寄りかかった。

「つ…疲れた…。」

「ユウが…始めたん…でしょ…。」

「そうだった…。」
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