新婚の定義──嘘つきな君と僕──
大変な盛り上がりの中、ライブツアーが幕を閉じた。

楽屋ではテンションの高いメンバーたちがハイタッチを交わし笑っている。

「いやー、やりきったな。」

「達成感ハンパねぇ!!」

「打ち上げだー!!今日は飲むぞー!!」

ユウは黙々と着替えながら、そんなメンバーたちを見ている。

(これから打ち上げか…。本当は帰ってレナと二人でのんびりしたいけど…。)

「ユウ、今日は強制参加だからな!!」

「わかってるよ。」

楽屋のドアがノックされ、レナと相川が顔を出した。

「あーちゃんと相川くんも、打ち上げ一緒に行こうよ。」

「あっ、うん。」

「じゃあ、お言葉に甘えて。」

相川が返事をする。

「オレ、ヒロさん探してくる。」

ハヤテが楽屋を出て、ヒロを探しに行った。

ユウはレナのそばに来て、小声で尋ねる。

「明日の仕事、大丈夫か?」

「うん。明日は休みだから。」

「そっか。」

帰り支度を済ませると、メンバーたちはゾロゾロと楽屋を後にする。

「いつものバー、電話しといたから。」

「さすがハヤテ。」

「ヒロさんは?」

「先に行ってるって。」

みんなが楽屋を出た後、ユウも席を立つ。

「オレたちも行こうか。」

「うん。」

二人で楽屋を出ようとした時、ドアがノックされケイトが入って来た。

「ユウ…ちょっといい?」

ユウはチラリとレナを見た。

「私、外で待ってるね。」

レナはひとりで静かに楽屋を後にした。

(私はユウを信じてる…。)
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