新婚の定義──嘘つきな君と僕──
おいしい料理とお酒を味わいながら、みんなでライブの話で盛り上がる。

「ところでヒロさん、あの子誰なんですか?いい加減教えて下さいよ。」

リュウの一言に、みんながヒロの方を見た。

「言ったろ?アンリだよ。」

「だからー、アンリって誰なんですか?」

「それは『秘密』だ。」

レナはみんなが気付かず自分の話をしていることが照れ臭くて、黙ってビールを喉に流し込んだ。

するとユウがレナの耳元で、ぼそっと呟く。

「『秘密』のアンリちゃん。」

「えっ?」

レナは驚いてユウを見た。

ユウはニヤリと笑ってまたレナの耳元で呟く。

「どんな格好してても、オレにはすぐにレナだってわかるよ。」

レナはバツが悪そうに小さく呟く。

「気付いてたの…。」

「当たり前だろ?オレが何年レナを見てると思ってんの?どんな格好してたってレナはレナだから。オレにはすぐにわかるよ。」

「ユウには隠し事できないね…。」

「うん。でも、みんなには秘密にしとく。レナがあんな色っぽい顔するなんて、みんなには知られたくないから。」

「ユウったら…。」


ユウとレナがこそこそ話していると、みんなはまた二人を冷やかした。

「あんまり見せつけんな、新婚夫婦!!」

「くそー、オレもかわいい子と結婚したい!!」

「やっぱり片桐さん争奪戦だな!」

「なんでだよ!!他当たれ!!」


ユウとレナから少し離れた場所で、相川は幸せそうな二人を眺めていた。

(レナが幸せそうで本当に良かった…。)

レナが幸せなら何も言うことはないと、相川はレナへの想いを、黙って胸に閉じ込めた。


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