新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「またヒロさんに、歌えって言われたらどうする?」

「もういいかな…。恥ずかしいし。」

「レナの歌、すごい良かったけど。」

「うん…でもあれは…断り切れなくて…。」

「笑顔で威嚇された?」

「うん。」

「でもまぁ…すごい人だよな。こんな逸材見つけちゃうんだから。まさかレナが歌ってるとは誰も思わないよ。PVも別人みたいだったし。」

「あれはジャケットに使うのかなぁ、もっと別人みたいな写真も撮ったよ。」

「そうなんだ…。オレの知らないうちに…。」

ユウはレナを膝に乗せて抱き寄せながら、プニプニと頬をつまむ。

「旦那に壮大な隠し事したお仕置き、しちゃおうかな。」

「えっ?」

「バツとして、今夜は別々に寝ます。」

「えーっ…。」

「やだ?」

「やだ…。」

「じゃあ、今夜は寝かせてあげないけど、いい?」

「えっ?!」

ユウは笑いながらレナの頬をつつく。
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