新婚の定義──嘘つきな君と僕──
一緒に作ったサンドイッチでお腹いっぱいになった二人は、ソファーで肩を寄せ合って、のんびりとユウの作ったカフェオレを飲む。

「ユウのカフェオレ大好き。」

「そうなんだ。」

「不思議なんだけど…ユウが作ったカフェオレは、他のと全然違うんだよ。」

「何も特別なことしてないけどなぁ…。どんなふうに違うの?」

「んーとねぇ…。優しい味がする。」

「なんだ、曖昧だな。」

「だって、ホントにそうなんだもん。」

レナはカフェオレを飲んで微笑んだ。

「私にだけ、わかるのかな?」

「オレはいっつもレナのこと想ってるから。カフェオレにもそれが出るのかも。」

「優しい味の正体は、ユウの愛情かな。」

「そう言われると恥ずかしいんだけど…。」

ユウは照れ臭そうにカフェオレを飲む。

「ユウのカフェオレの味は…ずっと変わらないもんね。私がニューヨークに行く前にここで飲んだ時も、高校生の頃と同じだったから…もう会えないのに、なんでこんな時に好きだって気付いちゃうんだろうって、切なくなっちゃった。」

「二人で黙って飲んだな…。何も言えなくて、気持ちばっかり焦って…。結局好きだって言えなくて、レナを抱きしめることしかできなくて…。またレナを泣かせちゃったんだけどな。」

「ホントだよ…。私の初めてのキスは涙の味だったよ。2度目も3度目も。ユウ、突然何も言わないで無理やりキスするから。」

「イヤだった?」

「イヤって言うより…怖かったし、悲しかったよ…。」

「ごめん。泣かせるつもりなんかなかったけど…レナが好き過ぎてどうかしてた。」

「うん。もういいよ。今は違うから。」

「じゃあ、キスしていい?」

「改めて言われると照れ臭いよ…。」

「レナ、愛してる。」

ユウはレナの唇に、優しく口付けた。

(今はユウと、こんなに甘くて優しいキスしてる…幸せだな…。)
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