新婚の定義──嘘つきな君と僕──
それからユウは、仕事の合間を縫って曲作りに励んだ。

レナに見付からないように、できるだけレナがいない一人の時に、ギターを弾きながら浮かんだ歌詞をメモする。

(こんなんで、ヒロさんの納得行く曲ができるのかな…。)

何度も悩んでは手を止め、また作り直す。

(素直な気持ちか…。)

レナがいてくれて良かった、とか…もう2度と離さない、とか…愛してる、とか…。

(いやいや…そんなんじゃないな…。)

その気持ちはもちろんあるけど、今のユウにはしっくり来ない。

(何かもっと、さりげないことでいいんだけどな…。)

タバコに火をつけ、煙を吐きながら、ユウはなんとなく部屋を見渡した。
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