新婚の定義──嘘つきな君と僕──
ユウがそんな毎日を送っている頃、事務所を通して、ある正式なオファーがユウの元に舞い込んだ。


「えぇっ…。」

久々に呼び出された社長室で、ユウはまたそのオファーに驚き戸惑っていた。

「ユウに是非ともやってもらいたいんだと。」

「いやいや…。そんなこと言われても…。」

ステージでギターを弾く以外は、あまり人前に出るのが得意じゃないユウは、そのオファーに後込みしてしまう。

「引き受けてやれよ。大事なおふくろさんなんだから。」

「まぁ…そうなんですけど…。」

それは`アナスタシア´初のメンズファッションのイメージキャラクターとして、ユウにCM出演やポスターなどのモデルをして欲しいと言うものだった。


「オレがレナの夫だからですかね…。」

「まぁそれは大いにあるだろうな。でも、社内でイメージキャラクターは誰がいいかってアンケートを取ったら、オマエがダントツの人気だったらしい。」

「そんなこと言われても…。」

「ずっと子供服を含めてレディースばっかりだったのに、高梨さんがメンズ服を作ろうと思ったのは、ユウに着て欲しいからなんじゃないのか?ゆくゆくは夫婦で共演とか、そのうちベビー服を子供に着せて…とかな。」

「えぇっ…。」
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