新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「予定日はいつなの?」

「11月中旬頃かな。」

「そう…ホントに良かったね。マユはすぐに頑張り過ぎちゃうから、無理だけはしないで。」

「うん、今度は気を付ける。今度こそは、この子をシンヤに抱かせてあげたいし…。」

マユは愛しそうに目を細めて、優しくお腹を撫でた。

(マユ、優しい顔してる…。これって、お母さんの顔なのかな…。)

「三浦くんは?」

「今日は連載の打ち合わせに行ってる。」

「そっか。三浦くん喜んでるだろうね。ユウも喜ぶだろうな。」

「シンヤは熱心にマタニティー雑誌読んで勉強してるよ。妊婦の私より熱心かも…。」

「三浦くんらしいね。マユ、旦那様に大事にされてるんだ。」

マユは照れ臭そうに微笑んだ。

「それでね…大事な話なんだけど…。」

マユは1冊のマタニティー雑誌をテーブルに置いた。

「私、この雑誌の編集部に異動することになったの。この編集部のほとんどが妊婦とか、子育て中の出産経験者で、妊娠中の体調とか、産後の産休とか、その後の子育て中のいろんなことを優遇してくれるんだって。」

「へぇ…。女性に優しい編集部だね。」

「うん。だから、今の編集部で予定してる`ALISON´の密着取材なんだけど…私の代わりに、他の記者が同行することになったの。」

「そっか…。」
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