新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「えっ?!それマジで?!」

「うん。」

「そっか…良かったなぁ…。」

仕事から帰ったユウに、レナは今日聞いたばかりのマユの妊娠を知らせた。

「楽しみだな。」

「うん、すごく楽しみ。」

親友の二人の嬉しいニュースは、ユウとレナまで幸せな気持ちにしてくれた。

レナはユウの分の夕食をテーブルに並べながら話を続けた。

「それでね、マユ、マタニティー雑誌の編集部に異動が決まったんだって。`ALISON´の密着取材には同行できなくなったから、ユウにごめんねって。」

「それは仕方ないよ。佐伯の体の方が大事だもんな。」

「そうだね。私はカメラマンとして同行するけど…なんか、緊張する。」

ユウは、レナの用意した夕食を口に運びながら、不思議そうに尋ねた。

「なんで?」

「だって…別の記者と密着取材は初めてだし、ユウと結婚したし…。」

「したし?」

「他のみんなは、カメラマンがユウの奥さんの私だと、やりにくくないかなぁって。」

ユウは味噌汁を飲みながら考える。

「まぁ…大丈夫じゃない?逆に、よく知ってるレナの方が気心知れてラクだと思うけど。」

「そうかなぁ…。」

「オレは別のことが心配なんだけど…。」

「別のこと?」

「アイツら、すぐに冷やかすから。」

「そうだねぇ…ユウのお兄ちゃんたち、意地悪好きだもんねぇ…。」
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