新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「忙しい時は、無理しなくていいから。オレもできることはなんでも一緒にやるし。」

「ありがと。ユウはホントに優しいね。」

「そんな優しい旦那と、一緒に風呂にでも入りませんか?」

「……ダメです。」

「えーっ…。テレビの収録で疲れたから、レナに癒してもらおうと思ったのに…。」

「………やっぱりダメです。」

「なんで?」

「………余計に疲れるでしょ。」

「オレは疲れないよ?」

「私が疲れるから、ダメです。」

「はぁ…。それ聞くとどっと疲れが…。もうダメだ、明日仕事に行けそうにない…。」

「……ユウ、甘えんぼ。」

「レナにだけ、特別な。それでもダメ?」

「……意地悪。」

「じゃあ、いいの?」

「………。」

レナはため息をついて、イスから立ち上がる。

「……先に入ってる…。」

「やった。」

ユウは嬉しそうに夕食の残りをかきこむ。

「あの…そんなに急がなくてもいいから…。」

「いや、オレは早くレナと一緒に入りたい。」

「もう!!私がいいって言うまで、絶対に入って来ないで!!」

「ハーイ。おとなしく待ってます。」

レナは顔を真っ赤にしながら、慌てて脱衣所に駆け込んだ。

(もう…気が付くといつもユウのペース…。)
< 30 / 269 >

この作品をシェア

pagetop