新婚の定義──嘘つきな君と僕──
やっとの思いでお風呂から上がってパジャマに着替えると、レナはソファーにぐったりと横たわった。

(やっぱり私が疲れちゃった…。)

ユウは冷蔵庫から取り出した冷たい水のボトルを、ソファーに横たわるレナに差し出した。

「なんか…ごめん、無理させちゃって。」

レナは少し身を起こしてユウから水を受け取ると、勢いよく水を飲んで大きく息をつく。

「もう、ユウとは一緒にお風呂に入らない。」

「えぇっ?!それは…。」

「もう、入らない。」

「ごめんって…。」

もう一度水を飲むと、レナはボトルをユウの手に押し付け、ソファーから立ち上がった。

「もう、寝ます。」

レナは少しふらつく足取りでベッドにたどり着くと、身を投げ出すように横になった。

(もう…ユウったら…。)

いくら新婚とは言え、最近のユウはあまりに頻繁に体を求め過ぎる、とレナは思う。

(ユウのことは大好きだけど…ユウと…そうするのも、キライなわけじゃないけど…。)

ベッドで横になり、ぼんやりと考えるレナのそばにユウが来て、そっとレナの頭を撫でる。

「レナ…ホントにごめん…。」

「……うん…。」

「こんなオレ、もうキライ?」

「……キライじゃないけど…。」

「…けど?」

「いつもこんなだと、ちょっと…困る…。」

「うん…ごめん…。」

「もう、いいよ…。おやすみ…。」

「おやすみ…。」

ユウはレナの隣に横になると、そっとレナの手を握る。

「レナ…愛してる…。」

「…うん…。」

なんとなく気まずくて、レナはいつものように“愛してる”と、ユウに言えないまま目を閉じた。

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