新婚の定義──嘘つきな君と僕──
入浴を済ませて、水を飲もうと冷蔵庫を開けたユウは、レナがしまいこんだたくさんのお皿に目を留める。

(これ、今日の夕飯…。)

コンロの上の鍋の蓋を開けると、野菜たっぷりのトマトのスープが入っていた。

(ハンバーグにポテトサラダにトマトのスープ…オレの好きな物ばっかりだ…。)

ユウの帰宅を待ちながら、レナが愛情を込めて一生懸命料理をしている姿が目に浮かぶ。

レナの食べ掛けた料理がしまってあることに気付くと、ユウはレナが一人で食べる夕飯に食欲をなくして残したのだろうと思う。

(悪いことしたな…。)


夕べのことが気まずくて、ユウはメンバーの誘いに応じた。

レナが何を思っているかと気になりながらも、今日はレナの顔を見るのが怖かった。

(ダメだな…オレ…。)

レナはレナでユウのことを考えてくれているのだと思うと、ユウは自分の気の小ささが情けなくも思えた。

(夫婦なんだから…オレはレナの夫なんだから…もっとちゃんとしないとな…。)

ユウはレナの隣に横になると、ぐっすりと眠るレナを優しく抱きしめた。

(寂しい思いさせてごめんな…。)

レナの温もりを感じながら、ユウは眠りについた。

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