新婚の定義──嘘つきな君と僕──
翌朝、仕事が休みだったレナは、大きな手の温もりを感じながら、いつもよりゆっくり目覚めた。

「ん…。」

ゆっくりとまぶたを開くと、ユウがレナの頭を撫でながら、優しい目でレナの顔を見つめていた。

「おはよ。」

「おはよ…。」

「寝顔…ずっと見てたの…?」

レナは少し恥ずかしそうに尋ねる。

「うん。オレの奥さん、世界一かわいいなーって。」

「…恥ずかしいよ…。」

照れ臭そうにうつむくレナを愛しそうに見つめて、ユウは優しく笑った。

「夕べ…ごめんな。」

「ん?」

「夕飯…オレの好きな物、いろいろ作って待っててくれたんだよな。」

「…うん。」

「ごめん、断って早く帰れば良かった。」

「気にしないで。付き合いも大事でしょ。」

「…うん…でも…。」

ユウはレナの額にそっと口付けた。

「オレは、レナが一番大事。」

「ユウ…。」

(ユウ、やっぱり優しい…。)

レナは手を伸ばしてユウにギュッと抱きつき、広い胸に頬をうずめた。

「ユウ…大好き…。」

(レナ、かわいいな…。)

「オレも、レナが大好き。」

ユウもレナの背中に腕をまわして抱きしめる。

「ユウにこうしてもらうと、あったかくて安心する…。」

「うん、オレも安心する。」

「ユウも安心するの?」

「うん。」

(レナがオレの腕の中にいると、レナがオレだけのレナだって、実感するって言うか…。)

ユウはレナを抱きしめる腕に力を込めた。
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