新婚の定義──嘘つきな君と僕──
昼食を昨日の夕飯にレナが作った料理で済ませると、レナはキッチンでたくさんのプリンを作った。

今日はスタジオで練習した後、テレビ局へ収録の仕事に向かうユウたちへの差し入れを持ってレナも一緒に行くことになったのだ。

「みんな、プリン好きかな?」

「うん。好きだと思うけど…レナの手作りプリン、みんなに食べさせるのは惜しいな…。」

「ユウったら…。」

レナはできあがったプリンをひとつ手に取り、スプーンを持って、ソファーに座るユウの隣に静かに座ると、スプーンでプリンをすくう。

「ユウに一番最初に食べさせてあげる。ハイ、あーん。」

レナが微笑みながら、プリンをユウの口元に運ぶと、ユウは少し照れながら口を開く。

「おいしい?」

「うん、うまい。」

「良かった。ハイ、もう一口。あーん。」

「子供みたい…。」

そう言いながらも、ユウはまた口を開いて、素直にレナの差し出したプリンを食べる。

「レナにも食べさせてあげる。」

ユウはレナの手からスプーンを取り上げ、レナの口元にプリンを運んだ。

「ハイ、あーん。」

レナも照れ臭そうに口を開きプリンを食べる。

「うまいだろ?」

「私が作ったんだけど…。」

二人は照れ笑いをしながら、ひとつのプリンを食べさせ合った。
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