新婚の定義──嘘つきな君と僕──
「あっ…。」

呆然と無言で立ち尽くすレナにやっと気付いたユウが、ケイトをなだめて自分の体からケイトの腕をほどく。

「ビックリしたな…。なんでここに?」

「しばらく日本で活動するの。最近日本でも人気が出始めたから。」

「へぇ…。ソロになって頑張ってんだ。」

ユウとケイトが楽しそうに会話している。

「ユウ、そろそろ紹介してあげたら?」

タクミがレナの隣に立ち、静かに言うと、ユウはハッとして、少し気まずそうにレナを見る。

「誰?」

ケイトは、さして興味もなさげにレナの方をチラリと見た。

「ユウの奥さんだよ。」

タクミがそう言うと、ケイトは驚いた様子でユウを見た。

「奥さん?!」

「うん…オレの奥さん。」

「嘘でしょ?!」

「いや、ホント。」

ケイトはレナを値踏みするように、上から下までジーッと見つめた。

「ふぅん…。」

(何…?なんなの?)

明らかに敵意むき出しのケイトの視線に、レナはうろたえた。

「そんなことより、もう終わったんでしょ?私もさっきまで別のスタジオでの収録の仕事があったんだけど、楽屋でユウたちがテレビに映ってるの偶然見たの。生放送だからここにいるって聞いて飛んで来ちゃった。これからどこか、みんなで飲みに行こうよ。」

「オレはパス。」

タクミが素っ気なく返事をする。

「オレは…。」

ユウがチラリとレナを見る。

その時、レナのスマホのメール受信音が鳴った。
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