新婚の定義──嘘つきな君と僕──
レナはメールを確認すると、バッグにスマホをしまいながらユウの方を見ずに言った。

「私、事務所に寄って帰るから…。ユウは行ってきたら?」

「え?でも…。」

「久し振りなんでしょ?私、帰ってやらなきゃいけない仕事があるから、気にしないで。じゃあね。」

レナはユウから目をそらしたままで作り笑いを浮かべると、メンバーに軽く頭を下げ、楽屋を出ようとした。

「あっ、オレ途中まで一緒に行く。」

タクミがレナの後を追う。

テレビ局の廊下を歩きながら、タクミはレナの横顔を窺い、静かに呟いた。

「あーちゃん、良かったの?」

「…何が?」

「ユウ、置いてきて。」

「私は…帰ってやらなきゃいけない仕事もあるし…。明日も仕事だから、遅くまでは付き合えないし…。」

「ユウと一緒に帰ればいいじゃん。」

「…久し振りみたいだし…すごく会いたかったみたいだし…付き合いも大事でしょ?」

「…無理することないのに。」

「え?」

「あの子が誰で、ユウとどういう関係とか、ホントはすごく気になってるんでしょ?」

「……気にならないって言えば嘘になるけど…知らない私がいるより、いない方がいいんじゃないかと思って…。」

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