新婚の定義──嘘つきな君と僕──
(またオレ、レナを悲しませてるのか…?もう泣かせないって思ってたのに…レナはオレのいない場所で、一人で泣いてる…。)

眠るレナの細い肩を抱き寄せ、ユウは呟いた。

「ごめん…レナ…。オレ、全然ダメだ…。」

「ん……ユウ…?」

すぐそばにユウの温もりを感じて、レナはゆっくりと目を開く。

「ユウ…おかえりなさい…。」

レナは子供のように寝ぼけまなこのまま、笑みを浮かべた。

そして、ギュッとユウの胸にしがみつく。

そんなレナがいじらしくて、たまらなく愛しくて、ユウはたまらず強く抱きしめた。

「…ただいま…。」

ユウの“ただいま”の言葉を聞くと、レナは微笑んで、安心しきったように、また寝息を立て始めた。

涙が込み上げそうになるのをこらえながら、ユウはただレナを抱きしめる。

「レナ…愛してる…。」

心の中で何度も“愛してる”の言葉を繰り返しながら、ユウはしばらくの間、眠るレナをただ抱きしめていた。

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