新婚の定義──嘘つきな君と僕──
翌朝、レナはユウの腕の中で目を覚ました。

夕べユウは、レナを抱きしめたまま眠ってしまったのだ。

(あれ…ユウ?)

ブランケットでくるんだレナの体を、長い腕でしっかりと優しく抱きしめるユウ。

(私にだけ…優しい…。)

レナはユウの寝顔を見つめて、広い胸に頬をうずめる。

(これが…私だけのユウなんだよね…。)

「ユウ…大好き…。」

ユウの胸にしがみついて小さく呟いたレナの体を抱きしめるユウの腕に、ギュッと力がこもった。

「オレも…レナが大好き…。」

「ユウ…。」

レナの顔を見つめて、ユウは微笑む。

「おはよ。」

「おはよ…。」

「夕べ…ごめんな…。」

「…うん。」

それ以上何も言えなくて、しばらく二人は、ただ黙って抱きしめ合っていた。

「ユウ…寒くなかった?」

「…少し冷えたかも…。」

「じゃあ…ハイ。」

レナがブランケットを広げて、ユウの体を包むように抱きしめる。

「一緒にこうしてると、あったかいね。」

「うん…あったかい。」

ユウはレナの胸に顔をうずめる。

「レナ…。」

「ん?」

ユウはレナの胸に顔をうずめたまま、静かに尋ねる。

「何も、聞かないの?」

「……うん。」

レナは小さく呟いた。

「今のユウが…ここにいてくれたら…それだけでいい…。」

ユウは何も言わずに、レナの唇にキスをした。

ただ唇を触れ合わせるだけの長いキスの後、ユウはレナを抱きしめた。

「オレは…どこへも行かないよ…。」

「うん…。」

お互いに言葉にしない分だけ、ただ相手の温もりを確かめるように、静かに抱きしめ合った。




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