新婚の定義──嘘つきな君と僕──
翌朝、ユウがまだ眠っているうちに、レナは仕事に出掛けた。

ユウが目覚めてリビングに行くと、テーブルの上にはいつものように朝食が用意されていた。

(昨日のケーキは…?)

冷蔵庫を開けると、ケーキや手をつけていないたくさんの料理が、ラップをかけて所狭しとしまわれていた。

(料理もこんなに…。)

それなのにレナは、文句のひとつも言わずに、いつものように朝食を用意して出掛けた。

(レナ…どうして何も言わないんだよ…。それとも、何も言わないんじゃなくて…オレが、言えなくさせてるのか…?)



昨日の誕生日と言い、最近レナに一人で寂しい思いばかりさせているのが心苦しくて、ユウは朝食を食べながら、どうすればレナに笑ってもらえるのかと思いを巡らせた。

(考えたら、最近全然レナとゆっくりしてないな…。今日は早く終わるし…少しでも早く帰って、レナと一緒にゆっくり過ごそう。レナがオレにプレゼントを用意してくれてたんだし…オレも何か渡したいな。)



ユウは朝食を済ませてシャワーを浴びると、仕事までまだ時間があるので、早めに出掛けてプレゼントを探すことにした。

(何がいいかな?)

クリスマスのプレゼントを選ぶ時にも、随分悩んでやっとの思いで腕時計を選んだ。

(そう言えば…ホワイトデーは挙式やらパーティーやらで忙しくて忘れてたけど、レナにチョコのお返しもしてない…。)

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