新婚の定義──嘘つきな君と僕──
撮影を終えたレナが、バッグにカメラをしまっていると、ケイトがレナに近付いてきて話しかけた。

「あなた…ユウの幼なじみって本当?」

「ハイ…。」

「ユウは私のこと、何か言ってた?」

レナは黙って首を横に振る。

「ふうん…。あなたに言ってないんだ。ロンドンで、私たちがどんな関係だったか。」

ケイトは意味深な言葉で、レナを挑発的な目で見ている。

「音楽仲間…でしょう?」

「まあね。それも間違いじゃない。ユウは私のいたバンドにヘルプで入ってたから。でも、私たちは、バンドの活動以外でもよく一緒にいたの。一緒に食事をしたり、お酒を飲んだり…。ユウは私を恋人だとは言ってくれなかったけど…私は、ユウが好きだった。だから、何度かユウが抱いてくれた時は嬉しかった。きっとユウも私を好きなんだって思ってた。」

「………。」

(やっぱり…。)

レナは黙ってケイトの話を聞きながら、知りたくもないユウの過去を、もうこれ以上聞きたくなくて、耳を塞ぎたい衝動に耐えていた。


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