新婚の定義──嘘つきな君と僕──
ひたすら歩いて事務所に戻ったレナは、車の中で一人、涙が乾くのを待ちながら、ぼんやりと考えていた。

(ユウには、私には話したくない過去がたくさんあるんだな…。私は…ユウにすべてを話したから…今更隠したい過去なんてない…。)


もし自分にも、ユウに話していない、ユウに知られたくない過去があったとしたら、それを知ったユウはなんと言うのだろう?

ユウ以外の人と付き合って深い仲になった人がいたとしたら、ユウも不安になったりするのだろうか?

(まさかね…。ユウにとっては、そんなこと、たいしたことじゃないよね…。だってユウは…いろんな人と付き合って、たくさんの人と関係を持って…。私なんて、そのうちの一人に過ぎない…。)

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