新婚の定義──嘘つきな君と僕──
ケイトに懐かしさで勘違いしただけだと言われたことを思い出すと、レナの胸はまた嫌な音をたてて痛んだ。

(10年も離れてたんだもん…。幼なじみの私が懐かしくて昔の気持ちを思い出しても、不思議じゃない…。)


それでもユウは、一生レナを愛して守ると言ってくれた。

ずっと一緒に生きて行こうと約束してくれた。

(神様に、誓ったんだよ…。)

リサの作ってくれた真っ白なウェディングドレスを着て、大切な人たちの前で、ユウを愛して一生添い遂げると誓ったのはついこの間のことなのに、もうずっと前のことのように感じる。

左手の薬指に輝く、まだ新しい結婚指輪を見つめて、レナはため息をついた。


(帰ろう…。私が帰る場所は、ユウのいる場所しかないんだから…。)

レナはエンジンをかけ、ゆっくりとアクセルを踏んで、車を発進させる。

(なんにも聞かなかったことにしておこう…。ユウが何も言わないんだから…私は…ユウを信じよう…。)

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