もう、嫌い
「ちょ、まって、今開ける」
平日の朝に家に帰ってくるなんて珍しくて、いつもとは違う気持ちでドアまで歩く。
「はいはいはーい、ちょっとまってねー」
「はやく開けて」
チェーンでもしてやろうかと思った。
だけどそんなことはできるわけなくて。
「どうぞー」
「どいて」
「はーい、ねえねがこんな時間に帰ってくるの珍しいね、雨降るかも」
「…男でも連れ込んだの?」
「いやそれはないよ」
ねえねがそんなこと聞いてきた理由がやっとわかった。
私の今の格好は半袖に下着。
「…寒くないのあんた」
「寒いよ」
桜が綺麗なこの時期にこの格好はだいぶ寒い。