チョコ
チョコ
予想って当たるんだね。
一年前のバレンタインデー。私の予想は的中した。
私が好きだった、あの人と、あの子が付き合い出した。
知らなかった。
友達たちは、知っていたみたいで…それでも私には言えなかったみたいだった。
早く、少しでも早く言ってもらった方がいい。
知らないまま、頑張ったりして。馬鹿みたい。そんな事、無駄。
後で気付くと、そんな自分が馬鹿みたいで、嫌になる。
私が好きだったあの人と、あの子が付き合い出した日、あなたからのメールが届いた。
一人ではしゃいだりして、馬鹿みたい。
何も知らず一人ではしゃいでいたけれど、私の恋はもう終わっていたのに。
あなたから、あんなメール送るなんて珍しい。
私とのメール…最後だってことを指していたんだね。
こんなんじゃ、もう送れない。
だけど、涙も出ないし、『こんなものかぁ』って思った。
しばらくその場で、立ち尽くしていた。
一人って、こんなに淋しいものなんだ、あなたの事、考えたらやっぱり涙が。
あなたは私の気持ちには最後まで気付かなかった。
それでいいと私自身も思っていた。
これがバレンタインかぁ。せっかくチョコ作ったのに…
あの子があげてるとこ、見てしまった。
友達から聞いた後、すぐに。
バレンタインなんか、バレンタインなんか、なかったらよかったのに。
そう思っていた一年前。
だけど、佐助は、私にこう言ってくれた。
「バレンタインがなかったら、俺たち出会えてなかったかもな。バレンタインがあって本当によかった。亜里沙と出会えて、本当によかった。」
そう言って笑ってくれたんだ。

 
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