チョコ
知ってるよ。」
佐助は平然としてそう言った。
「そっ。で、どうすんの?」
「どうって?」
「チャンスじゃん。まだ鈴木さんの事、好きなんでしょ?」
「別に。」
佐助の返事は、とても適当だった。
「告ったら?」
佐助は顔色を変えた。
「好きじゃないって言ったろ?」
「好きじゃないとは言ってないじゃん!」
「何が言いたい分け?」
「別に。」
「何だよ!」
「まぁ~私には関係ないけど。鈴木さんと佐助が付き会おうと、どうだろうと。」
本当は違う。
なのに…
「あっそ。お前みたいな気の強い女より、よっぽど鈴木の方がいいよ!!」
佐助の言葉が痛いほど胸に刺さった。
本当は違う。
言いたかったのは、そんな事じゃないのに。
どうして、いつもこうなるんだろう…
私はその日から佐助と話をしなくなっていた。

 バレンタイン当日。
学校へ向かう足どりが重かった。
頑張って作ったチョコ。
この前から、佐助とはまったく話していない。
いつもなら、喧嘩してもすぐに仲直りするはずなのに。
チョコ渡して仲直りしよう!そして、想いを伝えよう!
そう自分に言い聞かせた。
と、言ったものの…朝から佐助の周りには、女、女、女!!
近くにいけない。
ついに放課後になってしまった。
「あのぉ~佐助くん!」
佐助の周りには、またしても、女、女、女!!
鼻の下伸ばしちゃったりして佐助…本当に腹立つ。
「あッ!亜里沙~」
佐助は私に気付くと、手をあげた。
「なぁ~亜里沙、俺にチョコは??」
久々に話したと思ったら、いきなり何!?
私の気持ちも知らないで、こいつは。
「じゃぁ~帰ろうぜっ」
けれど、佐助の言葉が嬉しかった。
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