ホラー短編集
「トモ……ヒロ? おまえ……」
……なんで? さっきまでちゃんと、トモヒロはチャリの荷台に乗ってた。重みだって感じてた……でも、幼さを残したトモヒロの顔は、なんで俺が知ってる記憶の中の……中学時代のままなんだ?
「……ほんっと覚えてないんだな。だったら教えてやる。お前は言ったんだよ。『もし、お前が死んじまっても俺は絶対お前を忘れない』ってな。そして、覚えてなかった時には……」
「……覚えてなかった時は……?」
俺はおそるおそる聞いてみた。嫌な汗が背中を伝う。それと同時に今まで忘れていた記憶が頭の中に溢れ出す――。
「俺を道連れにしてくれ!!」
俺はトモヒロと同時に同じ言葉を叫んだ。
そして何かに引っ張られるように俺の乗った自転車ごと坂道を後ろ向きに下り始める!!