ホラー短編集
 ここ数日、決まって同じ時間に電話が鳴る。
 今日こそは取って、この連日続く嫌がらせに文句のひとつでも言ってやろうと思っていた。

 だが、不思議な事に電話が掛かってくる前には必ず意識が飛んでしまい、電話に出る事は適わない。

「毎晩毎晩……誰だよ……くそっ!」

 誰に言う事なく一人ごちる。答えが返って来る事などないのは百も承知だが、こうも毎晩続けば誰でも愚痴を零さずにはいられないだろう。


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