ホラー短編集
 なんでだ? なぜ助けてくれない?

「おらっ! とっとと離れろよ!」

 何度も蹴られている内、男の首の骨が折れた音がした。

「テメェなんかのために俺の人生台無しにされたくねぇんだよ!!」

 それはさっき男が発した言葉と酷似していた。

 車は男を路上に放置し走り去っていく。

 これは夢だ。さっきの夢の続きだ。

 男の意識が遠くなる。不意に男の目の端に白い塊が見えた気がした。

 自分が受けた痛みを俺にも味わわせたっていうのか?

 夢だ。夢に決まってる。

 死んだ人間が復讐するなんて、あるわけがない。

 早く目を覚まさなければ……。

 いつの間にか集まってきたカラスに体を啄まれながら、男は微かな望みを抱いていた。






   イカナイデ 終



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