【短】とある死神様の霊界事情
「で、あなたは何者なんですか?」
ある程度落ち着いてきたあたしはアイツに尋ねる。
「あー...俺?
この姿見て分かんないの?」
あたしを馬鹿にした様子でアイツは微かに笑った。
そう言われて カーッと頭に血の昇ったあたしはアイツをよく見る。
アイツは なんで今まで分からなかったと思うくらいの大きな鎌のようなものを担ぎ、フードのついた黒のコートを着ていた。
こうなったら頭に浮かぶ者は一つしかない。
「...死神?」と自然に呟いていた。
「当たり」
アイツは満足そうにあたしに告げた。
途端に震え始めるあたし。
死ぬ覚悟はできていたはずなのに...
実際に死のうとしていたのに......
ソレが現実に目の前に現れたら恐ろしくなる。
そんなあたしを知ってかアイツは
「あっ怖くなっちゃたの、もしかして?」
カラカラと笑って明るく言った。
言葉に出す元気もなく、あたしはこくこくと頷く。
それしか出来なかったのだ。
「...マジか」
あたしが怖がったのを見てアイツは唖然とした顔をする。
「それは悪いことしたな」
確実にそうは思ってない顔と表情はアイツは謝る。
「いえ、慣れてることなので」
あたしはそう言うが、声が震えているので当然「それ嘘だろ?」信用はされなかった。