【短】とある死神様の霊界事情
「...生きれるものなら あたしは生きたいっ!」
やけになって怒鳴るあたしにアイツは優しく微笑んできた。
「せーかいっ♪」
嬉しそうな声でアイツはあたしに近づいてきて 顔を覗き込んでくる。
心の準備なんて全くしてなかったから 恥ずかしさで顔がカーッと熱くなるのが自分でも分かる。
しかもコイツ遠目では分からなかったがイケメンだ。
透き通るような白さの肌、怪しげな雰囲気を醸し出すのに一役買っているつり目な瞳、サラサラの黒髪。
コイツ実は死神じゃなくて ヴァンパイアだって言われても納得できるような端整な顔立ち。
コイツの顔を近くでじっくりと見ているのに忙しいあたしにサラッと伝える。
重要なことを。
「まぁどっちにしろ乃蒼は生きることになってるんだがな」
「はっ?」
「俺は死ぬなんて一言も言ってないだろ?」
まぁ そうだけど...死神が私の所に来たんだ。
しかも死のうとしていたところに。
普通はすぐ死ぬと思うじゃないか。