自惚れ男子の取説書【完】

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「申し送りはじめまーす、おはようございます」


「「おはようございます」」

「お願いします。えぇ、1号斎藤さんは明日オペで…」


私が勤務するK大病院第1外科病棟は、主に手術の為に入院してくる患者さんばかりだ。術後は介助・処置が多いし、急変だってある。院内じゃ抜群に忙しい職場で、私は5年目を迎えた。

5年目ともなれば大体の仕事は覚えたし、後輩の教育担当に任命されちゃう位。
多少ぼんやりしていても、必要な情報は逃さない。ほんとはダメだけど。


前回の夜勤を引きずる私は、空室となった302号をぼんやり眺めてしまう。
部屋では後輩がせっせと新しくベッドメイキングしていた。きっと新しく入院する人がいるんだろう。


みんなが立ち上がりラウンドを始める中、私だけがなかなか動けずにいた。

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