自惚れ男子の取説書【完】

そうして気合いを入れ直すと、落ち着かずにキョロキョロと雑踏を見渡す。
来ればすぐに分かるはず。お目当ての姿を出来るだけ早く見つけようと、絶えず周りを見渡した。


「おい不審者」

ポンと肩を叩いた待ち人は、予想に反して背後から現れた。

「なっ…!失礼な…って小田さん、電車じゃなかったんですか?」

小田さんがやってきたのは改札からではなく、大通りの方からだった。平日の19時、待ちあわせの時間からしててっきり職場から直接来るものと思ってたんだけど。


「打ち合わせがこの近くだったんだよ。長引くかもしんねぇから、それで現地集合っつったのによ…」

はぁ…と呆れ顔で私を見る小田さん。


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