自惚れ男子の取説書【完】
「失礼ですねぇ…過去の1つや2つありますよ。小田さんには遠く及びませんけどねっ!」
「俺より多いとか、それはそれで引くだろ。まぁ…お前ならたかがしれてるだろうけどな」
まぁ…本当に1つや2つしか無いんだけど。
ふんと鼻で笑う小田さんは片肘をついたままグラスを傾ける。ちょっとお行儀悪い格好も、この人なら様になっちゃうんだから悔しい。
「……とっと…忘れ……いだろ…」
「えっ?何か言いました?小田さんがモテるのなんて分かってますから!今更自慢話と話さなくていいですからね!もう!」
私の反論にふるふると顔を振ると、呆れたように睨まれた。
今更、小田さんの女性関係なんて聞きたくない。
聞いて落ち込むのは目に見えてるから、小田さんの言葉を遮るよう捲し立てた。