自惚れ男子の取説書【完】

「仕事してなんぼですよ!仕事しなきゃ生きていけないんですから!ね、小田さん」

「はぁ?そらそうだろ。何当然の事言ってんだ」

”仕事の鬼”らしい一言に、ふふっと笑いがこぼれる。
勢いよくグラスを傾ける私に半ば呆れている小田さん。それでも無理に止められる事もなくて。


「弱いくせに酒ばっかり飲むな。ちゃんと食え」

そういって私側にあったサーブ用のスプーンを取ると、スマートに料理を盛ってくれる。

「小田さん…良いお嫁さんになれますね……」

「あぁ?酔っぱらいにやられて溢されたんじゃ料理が勿体ないからだ。言っとくけど、今日だけだからな」


”今日だけ”って…次があるみたいで期待しちゃうじゃない。

ふふっと頬が緩むのをお酒のせいにして、私は盛られた料理に箸をすすめた。

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