自惚れ男子の取説書【完】
2
ズンと頭に重く響く感覚で目を覚ました。
あぁ………痛ぁい。何これ、片頭痛とか?
今までに感じた事のない痛みに戸惑いながら、それとは別の重みにふと気づいた。
頭だけじゃない、胸のあたりにずしりとくる重さ。それを避けようと目を閉じたまま手探りで元凶を掴む。
細長い割にずっしりと重いそれは、なんだか生暖かい。よいしょ……っと脇におろそうとすると、声にならない唸り声がかすかに聞こえた。
もう……重たいなぁ。
安眠を妨害された事に眉をひそめ、再び潜りこもうと布団の端を引っ張りあげた時。
「………んだよ……」
言葉にはなりきらない、不機嫌なテノールが耳に入った。