自惚れ男子の取説書【完】
「「お疲れぇー」」
ガコっと雑にぶつけたグラスを、互いに遠慮なく傾ける。
「あぁーまさか急患来るとはね。ま、大した事なくて良かったわ」
「ほんと。琴美、入院とってくれてありがとね。あんな脱け殻だったくせに、結局あんた私より全然仕事早いんだから」
「ははは!やっぱそんな脱け殻だった?」
「あれはヤバかった。朝も主任が見てるの気付かないし。まぁ…主任も気遣ってくれたんじゃないの?夜勤一緒だったんでしょ?」
グラスに口をつけながら小さく頷いた。
前回の夜勤、忘れもしない朝方の6時過ぎ。
善次郎さんが亡くなった。