自惚れ男子の取説書【完】
ここ……小田さんの部屋、だ。
ようやく状況を把握した事で少し落ち着くと、今度はそれとは別の気持ちで心臓は激しく鼓動し始める。
隣に小田さん…が、いる。しかも同じベッドに…。
その現実にかあぁっと顔が熱を帯び、叫びだしたいのをどうにかこらえた。
好きな人と同じベッドにいる。そんなのっていつぶりだろう。
それなりに経験してきたけれど、恥ずかしさとどこか満たされる気持ちで落ち着かない。無防備な小田さんの寝顔に思わず頬が緩む。
そんな小田さんにそっと手を伸ばそうとして
「……ん?」
自分の腕が袖を通っていない事に気がついた。