自惚れ男子の取説書【完】
「先輩、ずっとロングでしたよね?いやぁ…ボブも似合いますけど」
勿体ないなぁ…とぼそり呟くと、腕組みしてしげしげとこちらを見てくる。
「急にどうしちゃったんです?失恋カットってやつですか?」
ははっと冗談めいて笑う後輩をよそに、私の肩はピクッと揺れる。
「まっさかぁー!失恋する相手もいないって。ただの気分転換よ」
動揺を誤魔化すようにもう一度肩を叩く。
えぇーと面白がる後輩の声を背に、それには気づかないようラウンドへと出た。