自惚れ男子の取説書【完】
暗い沼の底にずるずると引きずりこまれ、考えもがく程にそこから抜け出せなくなっていく。
あぁ…私こんなに小田さんが好きだったんだって。
美沙にはあの日、小田さんと食事に行くことは伝えてあった。だからか無理に聞き出そうとはしないでいてくれて、ただ私を食事や買い物に誘ってくれた。
美沙の心地いい時間のお陰で、徐々に心が軽くなっていくのが自分でわかった。
ぼろぼろに崩れ果ててから2週間。
最初は連日かかってきた小田さんからの電話。
何だろう…もしかして美月さんに誤解されて困ってる、とか?
そうだとすれば、私が説明するのが手っ取り早いんだろうけど。気持ちが追い付かない私は、徐々に鳴らなくなっていく電話に正直ほっとしていた。
ここ数日は1度も鳴っていない。