自惚れ男子の取説書【完】

思わずぷっと笑うと、デスクに肩肘をついたまま名波先生がこちらを向く。

「うーん、やっぱり辻さんは笑うと可愛いねぇ」

「……は?」

なんでそうなる。
こういうチャラチャラした所も苦手な理由だ。唐突すぎるでしょ、この人。


「あのね。最近の辻さん、無理やり笑ってるのほんと痛々しかったからね」

「え……あ、の…」


おちゃらけた顔を急にキリっとさせると、まっすぐにこちらを見てきた。

「最近の辻さん、なんか変だったでしょ?周りも心配するし、患者さんにもそんなんじゃダメだよ」
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