自惚れ男子の取説書【完】
名波先生の言葉にぐっと息が詰まる。
美沙以外、私のぐちゃぐちゃな心の内になんて気づかないと思ってたのに。なんで分かったんだろう…。
「そんな酷かった…ですか?」
「まぁ…ぱっと見じゃわかんないから。けど、あんま無理すんなよ」
ポンっと私の肩を叩くと、よっと名波先生は立ち上がった。
「よし。松山さんの顔見てくるわ。辻さんも早く帰んなよ」
「…あっ、お疲れさまです!」
反射的に立ち上がり挨拶すると、白衣を翻す名波先生の背中を呆然と見送った。