自惚れ男子の取説書【完】
力なく椅子に腰をおろすと、ぼんやりとモニターに目をやる。
何で分かったんだろう…。
自分ではうまく誤魔化せてると思ってた。
そんなにバレバレだった?名波先生の観察力がすごいだけ?どっちにしたって…
「ダメじゃん、こんなんじゃ」
どちらにしたって、看護師として失格だ。仕事だけはちゃんとやろうと思ってたのに…自分の不甲斐なさに力が抜ける。
名波先生のこと、苦手だと思ってたけど私なんかより医療者としてできた人だ。それなのに私ってば…
「よしっ…!」
パンっと軽く両頬を叩く。自分を叱咤すると再びパソコンへと向かった。