自惚れ男子の取説書【完】

 4


「んんー……っ」

大きく両腕を伸ばし肩を鳴らす。外は生暖かい風が優しく吹き、上着もいらない程だ。日も完全に暮れ真っ暗な中、心地よい風に顔が緩む。


「おっ、いたいた辻さん」

声のする方へ向きなおると、白衣とは違うシンプルなTシャツ姿の名波先生が小走りで寄ってきた。

「お疲れさまです。どうかしました?」

「んーいやいや。送り狼でもしようかと思ってね」

「……は?」


せっかくの爽やかな気分が一気に淀む。見直したと思ってたのに…この人やっぱり空気より軽い。

「ぷっ……辻さん、正直者だよねぇ」

「はい?何ですか」




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