自惚れ男子の取説書【完】
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「んんー……っ」
大きく両腕を伸ばし肩を鳴らす。外は生暖かい風が優しく吹き、上着もいらない程だ。日も完全に暮れ真っ暗な中、心地よい風に顔が緩む。
「おっ、いたいた辻さん」
声のする方へ向きなおると、白衣とは違うシンプルなTシャツ姿の名波先生が小走りで寄ってきた。
「お疲れさまです。どうかしました?」
「んーいやいや。送り狼でもしようかと思ってね」
「……は?」
せっかくの爽やかな気分が一気に淀む。見直したと思ってたのに…この人やっぱり空気より軽い。
「ぷっ……辻さん、正直者だよねぇ」
「はい?何ですか」