自惚れ男子の取説書【完】
恐縮する私に、決して怒る様子はなく。名波先生に促されるようにして駅へと向かった。
「横田ちゃんもね、辻さん位分かりやすいと良いんだけど。つれないんだよねー」
「はぁ…美沙は難攻不落ですよ、なかなか」
ガックリと肩を落とす先生にふふっと笑いがこぼれる。
軟派な人が嫌いな美沙だから、もしかしたら敬遠してるのかも。でも、私を送るように頼むってことは……ん?
「先生、意外と……いけるかも、ですよ?」
「えー何を根拠に?」
口を尖らせ子どもっぽい事をする名波先生は、納得いかないながらに私の言葉に期待しているようだ。