自惚れ男子の取説書【完】
「少なくとも、私を送るよう頼める位は信用してるって事ですよ。うん」
「ふーん…でも辻さん、俺に全く興味ないでしょ?だから頼んでも安心だーとかさ」
何だか納得いかないように考えこむ名波先生は、あっと思い出したように尋ねてきた。
「辻さん、ご飯何食べるの?」
「へ…?いや、あぁ……」
急な質問に意表をつかれつつ、脳内で冷蔵庫を漁る。
最近残業続きでろくに買い出しできていない。しかも、カップ麺なんかもストックは尽きているし…。
「はい、寄り道決定」
グイっと腕をとられると、煌々としたコンビニの看板を目指すよう向きを変えられる。
「『ご飯もちゃんと確認して下さい』だってよ?注文多いっしょー…ほんと、愛されてんねぇ」