自惚れ男子の取説書【完】
完全に動きを止めた私に気付き、名波先生が振り向くのが視線の端にうつる。
「どした?」
そう言ったのとほぼ同時、先生は立ち止まっている小田さんに身体を向けた。
小田さんの後ろには、ふたまわり程小さな影。わざわざ確認しなくてもわかる…さっきの声の主は、美月さんだった。
「なに、知り合いなの?」
私のすぐそばまで戻ると、名波先生は確認するよう小さな声で尋ねてきた。
「あんたこそ何?」
「失礼だなぁ~名乗るなら自分からじゃないの?」
「ちっ……俺、は「かっ……関係ないです!!」」
小田さんの声を無理やり遮る、と思った以上に大きな声で、自分でも驚きはっと口をつぐんだ。