自惚れ男子の取説書【完】
「これが…お前の答えなんだろ?もう連絡したりしないから安心しろ」
冷たく言い放つと、小田さんは私達に背を向け革靴を鳴らしその場を去っていく。
「ちょっ…大和!あぁ、んもう…ごめんなさい!」
小田さんの言葉は思ってもいなかったようで。慌てた美月さんは、軽く会釈すると小走りで小田さんの後を追った。
リーチも長く急ぎ足の小田さんは、あっという間に曲がり角の向こうへと消えていった。
「大丈夫だった?……って、辻ちゃん!?」
名波先生の気遣う言葉も、私の耳には届かない。
私は濡れた頬を風にさらし立ちすくむしかなかった。