自惚れ男子の取説書【完】


「うちら今年で27歳よ?そらまだまだ20代ですけど、立派にアラサーの仲間入りしてんだからね!あんた、うかうかしてると森さんみたくなるわよ!!」


「やっ…やだ!!それだけは勘弁!!」

美沙の一言のせいで、脳内ではぽっちゃりお局の森さんがおいでおいでと手招きしていた。


「でしょ?それとも何、出会いのあてでもあるの!?」

「えっ…出会いって…」





最近出会った…男…


思わず頭に浮かんだのは、濡れた漆黒の髪。

ぱっちりとした二重の瞳、通った鼻筋、少し色白な肌は腹が立つ程キレイだった。
どこか中性的な顔立ち、十人に聞けば十人が”イケメン!”と答えるであろうあの男。あまりの自惚れに腹が立ったけど、気になったのは全てを諦めたような彼の空気だった。

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